クッキーやチョコレート等の洋菓子は、動植物や自然の素材をモチーフにした、複雑な形状の個体が多いため、トレイのポケットも円形や四角形といった単純な形状ではなく、個体の形に合わせたデザインで設計する必要があります。

また、こうした洋菓子のトレイは、ポケットをテーパー状にして角にはRをつける、トレイ周囲の装飾はランダムな縦の溝をつけて演出するといった、独特のデザイン慣習があります。こうした、不定形な曲線や複雑な曲面、ランダムな装飾溝といった型を、データの集合体で再現するCADで設計するのは、非合理的であり時間の無駄です。こういった仕事は、自由自在な動きができる、人の手で行うのが、最もふさわしい分野です。

データを必要とせず、木型達人の直感と手技で木型をつくることのメリットは、
修正や緊急事態への対応力にも現れます。代表的な事例が、試作型を加算して
修正しなければならなくなった時です。

例えば、設計したクッキーのポケットが深すぎると、詰め合わせ状態にした場合、
そこだけ1枚欠落しているように見えてしまうので、これは絶対に修正する必要が
あります。

しかしCADの場合、マシニングセンターで切削加工をした試作型ですので、削り過ぎた
ポケットを元に戻すということはできません。修正するには、データを入力し直して、
いちから試作型を切削するしかありませんので、作業時間と切削工程の二度手間が
発生することになります。

これが木型であれば、驚くほど簡単に修正ができます。パテ等で木型を修復する、
という達人技が使えるからです。木型のパテは接着したあと彫刻刀で成形して、きれいに
研磨をしますので、修復跡がわからないほど完璧に修正ができます。


データによる機械的な命令・実行ではなく、人の手でアナログ式に加工する製法だから、こうした緊急事態が発生しても、楽々と
対処することが可能。木型達人には、過去50年に渡るノウハウが蓄積されているので、突発的な事象にも、臨機応変に対応できます。ですから、高級食品トレイの金型設計は、デジタル向きの仕事ではなく、アナログが最適解なのです。