木型達人による試作型起こしは、原板に洋菓子の当たりを付けたあとは、手作業でポケットを彫り込んでいく作業に入りますので、それ以外の、無駄な作業は全て省略されます。

これがCADであれば、洋菓子の個体のサイズを計測し、形状にマッチするポケットの形状とサイズを計算し、詰め合わせる個体の数だけデータを入力していかなければなりません。この工程だけでも、手彫り作業の何十倍もの時間がかかります。

CADの場合、データ入力が終われば、図面として出力し、クライアントと
打ち合わせをし、修正等を加えたのちに試作型づくりに入ります。

これが、木型による型起こしなら、手彫り工程が完了した時点で試作型が完成して
いますので、あとは、試作機でサンプルトレイを成形加工すれば、クライアントと
サンプルトレイを前にしての打ち合わせができます。


CADではまだデータ入力過程なのに、木型なら、試作品の修正まで終わっているといった
驚異的なスピード差が生じることもままあるのは、こうした工程差によるものです。

さらに木型の場合、試作型が完成したら、そのまま鍛造工程へ移行し、迅速に金型を
製作することが可能
です。
CADの場合は、試作型のデータをマシニングセンターに流し込み、切削加工で金型を削りだす工程が入るので、ここでも中間コストが発生します。

このように、木型による金型製作は、不要な中間工程をなくすことで、作業コストや
作業時間が削減され、トータルで大幅な合理化が図れます。
すなわち、高級食品トレイの金型づくりでは、コストパフォーマンスの面でも、CADよりも木型の方が圧倒的な優位性を持っているのです。

ただし、木型の場合、データを使わずにダイレクトに試作型を手彫りしていくため、CADのような図面やデータが残らないという問題があります。木型や樹脂型は時期をみて廃棄しますので原盤は残りませんが、廃棄する前に、3Dスキャナで立体データ化を読み取り、コンピュータに蓄積しておきますので、過去につくった木型を再現することはできます。